家づくりをお考えの皆さま。
“ファミリークローゼット”をご存知でしょうか?
近年は、お家の中でも各居室は極力小さく、代わりにLDKやウォークインクローゼット・家事室などを広く設けるといった間取りが主流になってきました。
そんな時代の流れの中で話題に上がっているのが“ファミリークローゼット”です。
そこで今回は
「ファミリークローゼットって何?」
「ファミリークローゼットのメリット・デメリットを知りたい」
といった疑問・要望に対して、住宅設計士の私が解説したいと思います。
ファミリークローゼットとは
まずは、そもそもファミリークローゼットとは何なのか、ご存知ない方もいると思います。
ファミリークローゼットはその名の通り、家族みんなで使えるクローゼットのことで、ファミリークロークと呼ばれることもあります。
家族みんなが共有で使うため、各自の居室からではなく廊下やLDKなど共有のスペースからアクセスするのが特徴です。
ウォークインクローゼットやウォークスルークローゼットとの違い
ウォークインクローゼットもしくはウォークスルークローゼットという言葉をお知りの方には、何が違うのか気になるところだと思います。
ウォークインクローゼットは入り口が1つあり、クローゼット内に入れる大型収納スペースのこと、
一方ウォークスルークローゼットは入り口が2つ以上あり、通り抜けできる収納スペースのことで、これらはクローゼットの形状の名称です。
ファミリークローゼットはこのどちらの形もあるのですが、
形状の名称ではなく、“家族みんなで使えるクローゼット“という用途の名称だと理解してください。
つまりファミリークローゼットのウォークインタイプ、ウォークスルータイプの両方があるということです。
ファミリークローゼットのメリット・デメリット
ファミリークローゼットとは何なのかについて理解したところで
ファミリークローゼットのメリット・デメリットについてお伝えしたいと思います。
メリット
①家事が楽になる
家族みんなの衣服や荷物を1箇所にまとめて収納できるため、家事が楽になるのがファミリークローゼットの最大のメリットではないでしょうか。
具体的に例を挙げると
衣服の洗濯後には全ての衣服をファミリークローゼットに収納できるので、家族それぞれの部屋に洗濯物持っていく手間が省けます。
ファミリークローゼットを洗濯干しスペースから近い位置に設けると、家事動線がさらに短縮できますね。
②生活動線が楽になる
朝起きてから家を出るまでの動線を考えてみると、
各自の居室→LDKで朝ごはんを食べる→居室に戻って着替える
といったようにLDKと各自の居室を行ったり来たりする方は、ファミリークローゼットを設けることで、この動線を楽にできる可能性があります。
各自の居室→LDK→洗面台→ファミリークローゼットという動線を確保できる間取りであれば朝の準備がしやすくなるかもしれませんし、
玄関→洗面台→ファミリークローゼット→LDKという間取りでは、帰宅後の動線がスムーズになりそうです。
③部屋が散らからない
これはファミリークローゼットに限らないことですが、お家の中に間取りとして収納場所を作っておくことで、物が溢れて部屋が散らかってしまうことを防げます。
また、着替えスペースが1箇所にまとまると、各居室に衣服が脱ぎっぱなしになったりせず片付けやすくなります。
④家族の生活スタイルに対応しやすい
お家づくり計画中の方の中には
これから家族が増える予定という方も多いのではないでしょうか。
現段階では夫婦2人だけの衣服しかお持ちでなくても将来的に誰の荷物がどのくらい多くなるかは想像できないもの。
反対にお子様がいらっしゃるご家庭においても、将来的には巣立っていくことも考えられます。
このように家族それぞれの荷物の量などによって、クローゼット内のスペースを自由に調整できるといった点もファミリークローゼットのメリットと言えます。
もちろん、家族人数の変化、生活スタイルの変容にも対応しやすいですね。
デメリット
ファミリークローゼットは家事動線や生活動線にも便利ですし、家族構成が変わっても長く使える間取りのためメリットがたくさんあります。
しかし、もちろんデメリットもありますので、デメリットを知った上で総合的にファミリークローゼットを設けるのか検討してみてください。
①広いスペースが必要
家族みんなの荷物を収納する場所ですので、それだけ広いスペースが必要です。
また、ファミリークローゼットを収納としてだけではなく着替えスペースとしたり、アイロン掛けなど家事スペースとしても活用したい場合はそれなりの広さが必要という点でも注意しましょう。
家全体の広さは限られていますので、どのスペースを重要視するのかによってファミリークローゼットの広さを考えてみてください。
②プライベートスペースではない
家族みんなで使える反面、プライベートな空間には出来ないという点もデメリットです。
例えば大切にしている衣服がある方や、思春期のお子様など、家族みんなに服を触られるのはちょっと、、と思うこともあるかもしれません。
また、着替えるスペースをファミリークローゼット内に設けていても、思春期のお子様は一緒に着替えるのを嫌がるケースもあります。
③朝は混雑する
家族みんなの出発時間や帰宅時間が重なる場合、ファミリークローゼットは混雑しがちです。
そういった場合には、通り抜けできるウォークスルータイプを採用したり、脱衣所など着替えができるスペースと近接してファミリークローゼットを設けると、混雑が緩和されるのでオススメです。
ファミリークローゼットは必要?
最後に、普段住宅設計をしている私がファミリークローゼットについての「作る?作らない?」の持論を語ってみます。
まず、前提ですが
各ご家庭によってファミリークローゼットがオススメの家族、そうでない家族あります。
それはそれぞれ生活スタイルや家族構成、育ってきた環境も違うからです。
ですがもしもあなたが、まだ小さいお子様がいるご家庭、もしくはこれから家族の人数が増える可能性があるご家庭でしたら
「ファミリークロークはオススメです!」
1番の理由はメリット④の家族構成の変化や生活スタイルの変容に対応しやすいことです。
小さなお子様の場合は1つ1つの衣服が小さいため荷物が少なめですが、これから身体も大きくなり、趣味や部活動などの衣服が増えたりとどんどん収納場所が必要になってくるでしょう。しかし、現段階ではどの程度の広さの収納が必要か想像しにくいこともあります。
なのでファミリークローゼットとして大きな収納を1つ作っておくと、家族間で荷物の多い人と少ない人でスペースを分け合うことが可能です。
これから家族が増える可能性がある方も同様ですね。将来用の子供部屋は作るにしても、その部屋をしばらく使わない場合、子供部屋に作った収納が使いにくい場所になることが考えられます。
ファミリークローゼットにすることで、常に使いやすく活用できる収納になるわけです。
反対に、既にお子様がある程度成長されているなどで、各部屋が十分に活用される場合やそれぞれの持ち物の量が把握できている場合は、ファミリークローゼットではなく各部屋にそれぞれ収納を設けた方が使いやすい場合もあります。
ですので、一概にファミリークローゼットが良い・悪いという訳でないので設計士やご家族間でご相談していただき、ファミリークローゼットにするのか、各部屋に収納場所を設けるのか決めていただければと思います。
まとめ
この記事では
- ファミリークローゼットとは?
- ファミリークローゼットのメリット・デメリット
- ファミリークロークは必要?
についてお伝えしてきました。
いかがでしたでしょうか?
収納については暮らしてみるまでなかなか想像が出来ないので、悩みが尽きることはないかと思います。
ファミリークローゼットに憧れがある方も、そうでない方も、
この記事が、皆様の家づくりや収納計画に少しでもお役立ちできればと思います。
他にも家づくりの記事を書いていますので参考にしてくださいね。
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