最近人気の高い「廊下のない間取り」というのをご存知でしょうか?
建築コストが高騰していることや核家族化が進んだことで、コンパクトなお家が増え、それでも居住スペースであるLDKや寝室を少しでも広くしたいというご要望がある今、
「廊下のない間取り」はとても人気があり、住宅の設計士として働く私も、ご要望として伺う機会が多いです。
そこで、この記事では
「廊下のない間取りって一体何が良いの?」
「廊下のない間取りにしたいけど注意点や設計のポイントを教えて」
このような疑問にお答えすべく、
現役で住宅設計士として働く私が記事を書いていこうと思います。
是非最後までご覧くださいね。
廊下のない間取りのメリット【5選】
居住スペースが広くなる
廊下のない間取りのメリット1つ目は、「居住スペース」です。
居住スペースというのは、リビングを含むLDKや、寝室、子供部屋、和室など、くつろぐ際に長時間滞在するスペースのことを指します。
廊下のないお家では、その名の通り、人が通るだけの廊下と言われるスペースがありませんから、その分の面積を居住スペースに回すことが出来ます。
そのため延床面積が同じお家であっても、廊下のない間取りを採用した方が、リビングや寝室などのスペースを広げることができるのはメリットと言えますね。
家族のコミニュケーションが増えやすい
メリット2つ目は「家族のコミニュケーション」です。
廊下のない間取りの場合、玄関を入ってすぐにLDKがあるケースがほとんどかと思います。
そうなると、帰宅時のお子様が子供部屋に行く際も必ずLDKを通って子供部屋に入ることとなりますので、LDKにいる家族と会話が生まれやすいでしょう。
同じく人気の高い「リビング階段」という間取りも、計画には注意点もありますが
廊下のない間取りでは採用しやすいので、ご家族の会話を大切に考えていらっしゃる今の時代にはぴったりの間取りですね。
リビング階段は寒い?後悔しないために知っておきたいこと|注意点と対策
建築コストを抑えられる
メリット3つ目は「建築コスト」です。
まずはこの画像を見てください。左が廊下のない間取り、右は廊下がある間取りです。
もちろん間取りによって一概には言えませんが、
廊下のある間取りよりも、廊下のない間取りのほうが比較的壁や建具(ドア)が少ないことがお分かり頂けますでしょうか?
壁や建具は建築コストの中でも、かなり大きく関わってくる部分でもありますので、
壁や建具を減らすことで建築コストを下げることができるのはメリットと言えますね。
部屋ごとの温度差が少なくなる
メリット4つ目は、「部屋ごとの温度差」です。
廊下のある間取りでは、廊下を挟んでしまうことでお部屋同士やトイレ、洗面所などとの間に温度差が生まれてしまうことがほとんどです。
例えばリビングを空調していたとすると、もちろんリビングは快適な温度ですが、トイレに行く際や、お風呂に入る前など廊下を通る際は寒い、もしくは暑いと感じますよね。
さらに、急激な温度差にはヒートショックの危険性も高まり、身体への負担も考えられます。
廊下のない間取りでは、このような負担が小さくなるのは嬉しいポイントですね。
防犯性が上がる
メリット5つ目は、「防犯性」です。
廊下のない間取りでは、玄関を入るとすぐにLDKがありますし、LDKを通って全ての部屋にアクセスするケースがほとんどでしょう。
そのため、在宅中にも関わらず、知らないうちに泥棒が入ってきて家中を物色していた。なんて物騒なことは起こりにくいかと思います。
防犯性を上げる工夫はたくさんありますが、間取りの工夫でも安心材料を増やせるのはメリットと言えますね。
廊下のない間取りの設計ポイント【注意点】
ここまでは、廊下のない間取りのメリットを5つご紹介してきました。
メリット沢山の「廊下のない間取り」とても魅力的ですよね?
しかしもちろんデメリットもあることはご承知ください。
デメリットを解消するために、設計士の私から設計ポイントを3つご紹介したいと思います。
間仕切り壁にも断熱材を入れる
間仕切り壁というのは、外壁ではなく家の“内部の壁”のことを言います。
家の外壁には断熱材が敷き詰められており、外部からの熱や音を伝わりにくくしていますが、
家内部の壁である間仕切り壁に断熱材を充填しているケースは少ないかと思います。
廊下がある間取りでは、廊下部分が緩衝帯となるので部屋同士の音は聞こえづらいですが、
廊下のない間取りでは部屋同士もしくはトイレの流す「音」が聞こえやすくなります。
間仕切り壁にも断熱材を入れることで、音漏れを軽減でき、快適に過ごすことができるかと思います。
間取りでプライバシーを確保する
廊下のない間取りでは、
・玄関からリビングが丸見え
・リビングからトイレが丸見え
このようにプライバシーが確保しにくい間取りとなるケースがあります。
そのため、間取りを決める際は必ず「目線」に注意し、
①玄関からリビングが見えづらく、
②リビングでくつろぐ人からトイレの内部が見えないように
それぞれうまく壁を配置したり、目隠しのルーバー等を取り入れるなど、プライバシー確保ができるかをチェックしましょう。
ロールスクリーンや扉を活用する
廊下のない間取りでは、部屋ごとの温度差が生まれにくいことはメリットとお伝えしました。
しかし反対に、冷暖房効率が悪くなることで冷暖房にかかる費用が高くなってしまっては元も子もありません。
そのため、必要な時に部屋を仕切れるようにロールスクリーンや扉を配置して、冷暖房効率を下げないような工夫が必要となります。
また、ロールスクリーンや扉があることで、来客時に散らかしているスペースを目隠しできることや、
家族間でも着替える際に閉めることが出来たりと、便利に感じることも多いかと思います。
【まとめ】廊下のない間取りは工夫が必要!
この記事では近ごろ人気になっている「廊下のない間取り」について、
メリットと設計ポイントをご紹介してきました。
いかがでしたか?
廊下のない間取りを採用する際は、メリットもたくさんありますが、
デメリットも存在しますのでしっかりと考えた上で、計画するようにしてくださいね。
また、間取りを考える際も、この記事でご紹介した設計ポイントをよくご覧いただき、
少しでも後悔しない家づくりにしていただければと思います。
間取りに関しては、家づくりのお悩みも多い部分かと思います。こちらの記事も是非参考にしてください↓
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他にも家づくりに関する記事をたくさん書いていますので、そちらもどうぞ。
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